仕事柄多くの女と接しているが、日々新鮮な感動には事欠かない。顔も性格も声も痴態も、一人ひとりまったく異なるのだ。世の中に同じ女は二人といない・・・。その僅か一部だとしても、普通に生きているよりもずっと多種多様な女と関係を持つことができる自分の仕事に、俺は誇りを持っている。朝食後にブラックコーヒーを飲みながら、スマートフォンでスケジュールを確認する。今日のミッションは<淫らな素人女の魅力を引き出し映像に収める>こと。事前情報では、どうやらいわゆる「いやらしいお姉さん」タイプの女のようだ。A4一枚とはいえ、重要な情報が詰まった資料に目を通しながら、ミッションの大まかな流れを脳内で描く。家を出るまでに幾つかの候補をストックし、待ち合わせの場所である駅へと向かった。約束したちょうど五分前に現れた女の名前は、まどか。緊張してはいるようだが、接客業をしていることもあってか笑顔は絶やさない。人の心に自然と馴染む柔らかいオーラを纏い、これから行われる淫靡な秘め事の香りなど微塵もさせない女だ。駅から少し離れた場所にあるホテルへ到着し、空室を見繕う。「この落ち着いたデザインの部屋がいいです」控えめに指さしたのは色使いの柔らかいノーマルな部屋。撮影にも適している。希望を聞き入れ早速部屋へと向かった。こういったホテルにはあまり慣れていないのか、興味深そうな視線を左右に彷徨わせるところを見ると、知っている情報よりも些か初々しいようにも感じる。撮影の準備を整え、まどかと向かい合うと不意に濃密な空気が流れた。相手がこれから起こることに胸を高鳴らせているのが分かる。そっと触れた彼女の肌は絹のように滑らかで、この肌で何人の男を虜にしたのかと劣情のままに激しく暴いてやりたい・・・。しかしそれは俺のポリシーに反する。あくまで、俺はこの女の引き立て役。主役はまどかだ。ミッションのクライマックスが最高のものとなるように、愛撫で頂点へと導くことが重要なのだ。先程までの淑やかな雰囲気は鳴りを潜め、火の点いた快楽に身を委ねるまどか。本来持つ淫らな性が、俺たち二人を爛れた空間へといざない、カメラはただ静かにそれを見守っている・・・。
友善列印